
日本の大学またはアメリカの大学どちらが良い?
小林 明
いつか留学したいと考えていますが、いったん日本の大学へ進学した後に留学するのとアメリカの大学への直接進学との間で悩んでいます。どちらが良いのでしょうか。
どちらが良いかということを簡単に答えることは難しいと思いますが、留学に必要なものは、①自分の目的、②家族の理解、③財政的な備え、④学力、⑤コンピューター・スキルに加えて、⑥留学の目的(英語力の向上、期間限定の正規留学、2年制大学卒業、4年制大学卒業など)に必要な英語力です。ついでに言えば、⑦将来の夢も考えてみる必要もありそうです。
日本の大学に進学した後の留学方法について
1 大学間の交流協定に基づく、交換留学制度
この留学の特徴は、大学間で交換する学生数がかなり限定的である点です。一般的には1対1あるいは2対2、多い場合でも5対5といったかなり限定された人数の交換になります。留学先の授業料が免除され、留学先で取得した単位が母校で認定されるというメリットがありますが、交流協定校の数に交換人数をかけた学生数しか留学できないことと学内選抜が非常に厳しいことがデメリットです。留学期間は協定によりますが、半年か1年が一般的です。
2 大学間の交流協定に基づく、派遣留学制度
この留学は、基本的には上記(1)と同様に大学間の協定に基づき、取得した単位を母校が認定するものですが、授業料免除で同数の学生を交換するというものではありません。メリットは交換留学に比べて受入数が多少多いということです。ただ、応募者の数によっては母校内での選抜があり、合格しても留学先大学の既定の授業料を支払わなければならないことがデメリットと言えるでしょう。留学期間は上記と同様です。
3 認定留学(私費留学)
母校の制度とは関係なく、留学先や留学機関を自分で決めるものです。完全な私費留学との違いは、留学前に母校に認定留学として申請し、承認されれば、帰国後に留学先で取得した単位を認定してもらえるということです。(ただし、認定単位数は母校が決定するので、100%の認定とはならないことも考えられる)また、これも母校によって扱いが異なるが、認定留学期間中の授業料は満額支払わなければなりません。大学によっては、留学奨励助成金として奨学金を出すこともありますが、留学経費はすべて自己負担となります。
4 私費留学
母校を休学の形で留学するもので、帰国後の単位認定や奨学金・奨励金といった大学の支援はありません。個人の留学であり、留学期間や留学先などはすべて自由に決定できますが、留学経費は全額自己負担となり、4年間で卒業することはできません。大学によっては、通常の授業料ではなく授業料よりも少額の在籍料を徴収するところも少なくないようです。
日本の大学に行かずに直接アメリカの大学等に進学という道を選ぶ場合、次のようなルートが考えられます。
(1) 大学付属等の英語研修所 → 2年制大学 → 4年制大学の3年次編入
(2) 大学付属等の英語研修所 → 4年制大学
(3) 2年制大学
(4) 2年制大学 → 4年制大学の3年次編入
(5) 4年制大学
(6) アメリカの大学 → 日本の大学への編入(1,2年次)
いずれの場合も大学を卒業することを前提としていますが、留学開始時期の自分の英語力、成績、財政状況等によって、(1)~(5)のいずれかの方法を選ぶことになります。日本の大学に入学した後の一定期間の留学に比べると2~5年くらいの長期になりますから、その分コミュニケーション力や異文化適応力、友人ネットワークといったグローバル人材として必要な素養をより多く習得できる可能性が高いと思われます。将来、日本国内だけではなく、国際的な関わりを持つ企業や機関で働きたい場合は、比較的有利になると思われます。
また、留学中に将来の就職の関係で日本の大学を卒業した方が有利だと考えるようになった場合は、日本の大学に編入することも可能です。留学する前に日本の大学の編入制度について調べておくことも大切だと思います。
日本の大学かアメリカの大学かと悩むよりも、自分の夢や将来の希望を実現するためにどの道が良いか家族等と話し合ってみることが大切でしょう。