
留学とは、自分自身の経験値を増やすこと
庵耀一
留学は大学生活の時間とお金の無駄だという主張もあるが、そのようなことはないと思う。そもそも何事も経験なのだから、失敗であろうと成功であろうと、それが新しかろうと古かろうと、自分自身の経験値を増やすことのできるものではないだろうか。中には何事も経験というのは感情論や根拠のない考えだと言われる人もあろうが決してそうではないと思う。もちろん大学生活においては、留学してもしなくても損失が出ることがあるだろうが、それは個人の選択の結果であって、部活動やアルバイト等、何に重きを置くかによって当然結果は変わってくるものだ。多様な選択肢の中の一つに留学があると考えれば良いのだ。
それでは留学に関してどのような良い結果が出るのであろうか。ここでは私の留学経験を考えてみる。主に予想されることは新しい環境に慣れる能力だ。新しい環境とはもちろん場所から始まり食事や人間関係、気候や言語等多岐に亘る。私は過去3回の留学で全て異なる土地に滞在し、ほぼ異なる文化を体験したのであるが、そのどの体験でも初期は苦労した。マイノリティとしていかに生きていくかをしっかり考え、それを行動に移すことによって今までの自分やこれからの自分に関して改めて考え直す機会がとなり、経験値を増やして己を磨くことができたのである。
私の3度目の留学先はアメリカ合衆国のアラバマ州での5か月間だった。ここでの生活には同プログラムに参加した日本人学生も何人かいたが、授業や諸活動にはほぼ一人で参加した。地域性もあるのかもしれないが、中には南部特有の訛を持つ先生もおり、日本では英語に触れている時間が少なかったし、授業では当然のことながら英語で新しい概念を学ぶのだから、最初の一か月間はかなり大変だった。しかし積極的に他学生と話すことや授業を録音して何度も聞き直すことなど様々な自主的な努力により留学二か月目には慣れ始め、徐々にではあるが授業に参加することができるようになった。
私は実際、生徒のみならず教師、さらには店員や飛行機で隣になった多くの人々に自分から話しかけることを切掛けに、語り合ったり、一緒に遊びに出掛けたり、とより有意義な生活を送ることができるようになり非常に嬉しかった。自信向上にも繋がったのは間違いない。それほど深い経験ができたことから、留学が大学生活の時間やお金の無駄だとは決して言えないのである。