
留学期間と成果は単純に比例しない
上條秀斗
留学における成果、つまり目標設定をどこに置くのかがこの問題の大前提である。語学の上達、習得という成果であるならば期間と比例するだろう。嫌でもその国の言葉を話すようになるからだ。いくら現地にいる同国の人間と関わっていようと常に一緒にいるわけもなく大半はその国の言葉を話さないと生活できないからだ。ただ英語以外の言語の習得を目的とした留学であるならば話は別であろう。その国の言葉が難しくてなかなか覚えられないから英語でコミュニケーションを取るという事はあり得ることだ。一方で成果を、「友人を○○人つくる」「アルバイトの採用を受ける」などの項目においては必ずしも比例しない。これは当人が自ら行動を起こさなければならないからだ。異文化や全く違う価値観の人間に囲まれた環境でやりたいことを実行できるかどうかはその人次第であろう。
留学先で勉強のみを追究し、家にこもっていては語学習得以外の成果は見込めない。日本にいても同じだ。多くの友達に囲まれている人もいれば、孤立している人もいる。はつらつと仕事をしている人もいれば、家に引きこもって親のすねをかじっている人もいる。よって、留学には関係なくその人がどういう人間かによって成果は全く違う結果となるはずだ。その他、TOEICやTOEFLの点数をあげるという目標設定をしたのであれば、これは確実に上がるだろう。というのも、TOEICの点数配分の半分はリスニングであり、TOEFLはリスニングとスピーキングが半分を占める。文章を読む事が依然苦手であっても留学前と後じゃ少なからず点数は上がる。しかしTOEIC900点以上、TOEFL100点以上などという目標をたてたとしたらこれは留学期間と成果は単純に比例しないであろう。留学期間中に日常生活で鍛えたリスニングとスピーキングに加えて、読み書きも鍛えなければならないからだ。
あくまで持論であるが、点数をあげるために留学先で勉強ばかりして大切なものを見失わないでほしい。言い方は悪いが、いくら点数を取ったとしてもそれは永続することはない一時的な証明だ。いい点数を目指すことを否定する気は毛頭ないが、それよりも現地で多くの友人と多くの思い出をつくったほうがその後の人生にとって有意義で、後で振り返ったときに感じるものがあると思う。