留学の成果は積極性、主体性に比例する

久米梨紗子

留学から帰ってきて2週間ほど経った頃、私は就職活動のためにTOEICを受けた。150点上がっていた。その時は4カ月半でこれだけ変わるなら、1年行けたらよかったのにと思った。しかし、自分の留学生活を振り返った時、本当に長く留学すればするほど成果が得られるものかどうか疑問に思った。なぜなら、私の留学生活の原動力となっていたものは「4カ月半しかないから全部やりたい!無駄にしたくない!」という思いだったからだ。

私のホストファミリーには2歳児の双子がいた。そのため夕飯の時間が非常に早く、5時であった。授業が終わったらすぐに帰ってこないと間に合わない時間だ。そのため、もともと夜型の人間だったが、朝早く学校へ行き、授業前に勉強をし、授業後はできるだけ早く家に帰るように心がけた。その結果、ホストファミリーと過ごす時間を大切にすることができ、その中で会話やアメリカの文化を学ぶことができた。また、時間の使い方を見直したことで、1週間のリズムが作られ、生活にメリハリが出た。毎週火曜の授業後にWriting Centerに通い、課題を見てもらう。金曜日には洗濯や掃除をし、夕方から学校のイベントに行く。土曜には友達と出かけるなどだ。実家暮らしで専業主婦の母が何でもしてくれていた生活は確かに楽だが、自立して生活することのやりがいや楽しさを知るまたとないきっかけになった。自立して生き生きとしている自分に自信を持つことができ、より一層やる気が湧くという良いサイクルで4カ月半を過ごし、英語力とともに内面も成長することができたと思う。

留学経験者に「実際に留学に行ってみて、自分の想像していた留学と比べてギャップがあったか?」というアンケートを実施した。その結果約8割の人がギャップがあったと答えている。主な理由として思っていた以上に英語が話せなかった、留学を終えてもそんなに話せるようにならなかった、現地の人が日本人に興味がなく、自分から行動しないと友達すらできない、などがあった。これらの回答からもわかるように、留学に行きさえすれば自然と英語力や異文化感性が身につくというわけではないのだ。自分から行動を起こし、友達を作る。その友達とよく話すようにする。そうすることで英語が話せるようになり、異文化に触れる経験をより多く持つことができる。何か変えたいなと思ったとき、生活する環境を変えるというのは良いきっかけとなる。しかしそれはあくまできっかけであり、自分で目標を持ち、変わろうとしない限り、何も得ることはできない。それは留学に限らずすべてのことに言える。留学は自分を大きく成長させるチャンスであり、その成果は積極性、主体性に比例すると言えるだろう。