排他的になる人こそ留学をするべき

阿部仁美

 留学を推進するが、必ずしも全員が留学するべきだとは言えない。ただ、違う価値観を持つ人々に対して排他的になる人は留学をするべきだと考える。なぜなら、私が留学を推進する一番の理由が、価値観の違う他者への受容力が身に付くと考えているからだ。留学の目的はそれぞれである。だが、留学の必要性と聞かれたら、排他的にならないためと私は答えるだろう。海外で生まれ育ち、国際感覚が豊かな帰国子女や、一生、外国人と出会わないような無人島や山の奥にこもって暮らすなどという人には、留学する必要はないかもしれない。ただ、事実を知らずに他国を毛嫌いしたり、在日外国人を罵ったりするようなことがあるのならば、一度、日本から出てみてはどうか、と私は思う。小学生の頃、私は近所に住んでいた在日韓国人の家族と衝突し、それ以降、日本以外のアジア人に苦手意識があった。しかし、大学に入ると、クラスの半分が韓国、中国から来た留学生で構成されていて、1週間のほとんどを彼女たちと過ごすようになった。特にきっかけはなかったが、気付いた時には自身のアジア人苦手意識がなくなっていた。大学へ入学して半月も経っていなかった気がする。私は、国際的な環境が大学のクラスにあったおかげで、フラットな目線で何事も判断出来るようになったと思う。だからこそ、普段から自分の基準を考え直す機会が無い人々こそ、留学をする必要があるのではないか。