異文化体験・理解が主な留学目的だった

庵耀一

必ずしも語学の習得が留学の目的と考える人が少なくないが、決して第一義的なものではないといいたい。確かに自分が使ってきた母国語がほとんど通じない場所に留学をするのだから語学の習得を主要な目的にしている人も少なくないのも理解できる。実際に語学留学という名目の留学制度も無数にある。しかしながら留学に他の目的を求める人も多くいるのである。ここでは語学以外の目的を記述することでこの問いかけにお答えしよう。

第1に、語学以外の勉強である。確かに授業はその国の言語を使用して勉強するのでその語学もしっかりと習得できるとは思う。しかしながら専門性の高い授業を履修するために留学する学生も少なくはないはずである。特に大学院生の留学にはこのような例があてはまるのではないだろうか。学部生でもそういう人は少なくない。

第2に、異文化体験である。母国とは異なる文化を体験し理解しようとすることを留学の主要目的にする人も多い。自分の留学の第一目的は語学力の向上ではなく異文化理解だった。日本人というマイノリティとして多くの人々と交流し、多種多様な経験を積むということであった。結果的には確かに英語能力も上がったことは確かだが、全く違った文化の中での生活を通じた適応能力の向上は語学の向上とは比較できないほどのものだった。

このように強く言い切ることができる理由は自分の目的意識が大きく関係していたといえる。元々英語も好きであり英語を使った会話やレポート等能力向上を目指したいということも勿論だが、異文化理解という明確な目的意識があったからである。すれ違う人となるべく話そうと意識したり、積極的に話し掛けたりすることで、ありふれた世間話からお互いの母国についての詳細な話などの貴重な体験重ねることで見識を広げることができたと自負している。明確な目的は留学の成否を決定的にすると思う。