エッ、Thank youは重くてThanksは軽い?

濱谷愛美

留学で困ったことは、「Thank you=ありがとう」という言葉に対する意識のギャップである。何かもらった時、してもらった時、感謝の言葉を伝えるのが「ありがとう」という言葉である。この言葉を言って、もしくは言われて、いやな気持になる人はいない。というのが私の考えであり、私は恐らく他人よりもこの言葉を使っているようだ。留学先で親しくなった友人が何人かできたが、特に仲がいい友人が2人いた。私の留学先はアラバマ州でかなり田舎であるため、どこか遊びに行くときや日用品を買うときも車が必要だった。しかし、車はないため、その親しい友人が車で送ってくれることが多かった。その際、私は送ってくれて車を降りる際 ”Thank you” と必ず言っていた。しかし、ある時、友人に「そんなにありがとうと言われると遠慮されているみたいで、距離感を感じるから言わなくていいし、言うにしても ”Thanks” にして」と言われてしまった。ありがとうと言われることで、自分と友人との間に距離感を感じられてしまったことがカルチャーショックであったし、戸惑った。しかし、そういう文化なのだと受け入れていても、ついつい車で送ってもらうと言葉としてでてしまい、よくからかわれたものだ。困ったことというほどでもないのだが、言わなくなるまでには大分意識することが必要だったし、「日本人の遠慮する性格」がここに表れているのだろうかとも考えるきっかけにはなった。留学生活を送ることは、その国の文化を理解し、自らの文化との違いを受け入れ、“適応”することだと再認識した 出来事であった。