
留学は期間ではなく、どう過ごすかが大切
兵頭純子
長期じゃないと留学は意味がないということを言う人がいる。結果から言ってしまえば、期間に関係なく自分が目標をもって臨めているかどうかが肝心であると思う。たとえ長く現地にいたとしても、日本人とばかり一緒にいて日本にいる時とさほど変わらない生活を送っていたり、何の目標もなくただただ帰国する日を待ちわびてカレンダーと向き合う日々を過ごしていたりということなら、それは単なるお金と時間の無駄遣いになってしまうということだ。
このような考えにいたった経緯を私の中高時代の短期留学経験からお話したいと思う。私は中学校時代に1か月間カナダに、高校時代に3週間イギリスに語学研修という形で海外経験をした。中学時代の私はカナダでの語学研修をちょっと長い観光旅行程度にしか思っておらず、現地の生徒とは授業中に少し話す程度であとは日本人の学生とばかり話し、寮では部屋にこもり日本にいる友達とメールする日々を過ごしていた。というのもこのプログラムは強制的に参加しなければいけないもので、自らの意識も高く持たないまま日本を飛び立ってしまった。また、日本の机上の勉強では得意としていた英語も実際にコミュニケーションできるレベルではないことを現地の生徒と交わってみて痛感したのである。英語力のなさと目標の不明瞭さが、カナダでの生活をただの遊びにしてしまったのである。
高校時代のイギリスの語学研修ではカナダの時とは大きく異なり、自分で「現地の人々となるべくたくさんコミュニケーションをとる」という目標を決め、事前に独学ではあるが英会話の勉強をし、日本人学生といる時間をなるべく減らせるようにホームステイを選択した。自ら行動することで留学に対する意識も変わり、そこで成すすべてのことに意味があるように思えてきた。帰国してからも「もっとイギリスのことが知りたい!」と歴史や文化について納得がいくまで調べた。この経験が今の私に大きな影響を与えているといえる。
期間でいえばカナダのほうが長かったが、何も考えないままただただ言われたから行き、困難な壁には目を背け何の意味もなさなかったあの語学研修は正直お金の無駄であっただろう。(イギリスにいったときの自分のバネになったと考えればある意味それはそれで価値のある経験だったかもしれないが)しかし、たった3週間でも自分の人生に大きく関わるような経験ができるというのを私は身をもって体験している。もちろん、もっと長くいればそれ以上のたくさんの経験ができるかもしれない。しかし、自分にとって価値のあること、夢や目標を達成することには期間よりも、その期間をどう過ごすかという質のほうがよほど大切なことだと思えるようになった。