まさに国際教育の必要な時代に突入している
久米梨紗子
日本では臨時教育審議会によって教育の国際化、国際理解を深めるための教育が進められてきた。しかしそれは政策による国際教育の歪曲が多々あり、学校などの教育現場における実際の教育は形骸化してしまっており、理想的な国際教育が実施されているとは言い難いものになっていると深山は指摘している。そして今、真の国際教育が求められている。なぜなら、かつてのような口先だけでの国際教育ではすまない時代がやってきたからだ。
例えば社会福祉に関して。日本は少子高齢化が進み若い働き手が年々減って来てしまっている。一方で医療は進み、日本人の平均寿命はどんどん伸びている。たくさんのお年寄りを少ない若者で支えなければならない状態だ。それにも関わらず介護の仕事は人手不足に悩まされているし、親の介護のために仕事を辞めなければならない人も多い。そんな中、介護士や家政婦になるために日本に来る外国人が増えている。今や日本は彼らなしには回らなくなりつつある。
介護に限らず他の仕事も外国人の人達が多く携わっている。ホテル業は今やほとんどが外資系となり、ある日突然トップが外国人になり英語によるコミュニケーションが必要になるなんてことも大いにあることだ。企業は世界各地に工場を作り、現地の人々によって生産され日本に逆輸入される。このような人々に日本人の働き方を押しつけてしまってはいけない。家庭と仕事のバランスや、時間に関する考え方など、文化によって働き方も多種多様だ。それを日本の企業だから、日本で働いているのだからと頭ごなしに否定してぶつかるのではなく、相手の文化を理解し、受け入れる気持ちがなければならない。充分にコミュニケーションのとれる語学力、個人個人や各文化を受け入れ対応できる柔軟さ。机上で理想を語るのではなく、実践的かつ精神面からの国際教育が今、必要とされている。
上記の内容とは話が変わるが、今日本では憲法改正の話が出ている。現行の憲法は武力と戦争を放棄した世界に誇れる平和な憲法だ。改正案では自衛隊の扱いなどが大きく変わろうとしている。国際連盟のころから基本的人権に基づいた国際協力の上になりたつ世界平和を目標としてきている社会に対して、この改正は本当に時代にあっているのだろうか。正しい判断をするためにも、世界で理想としている国際教育の姿、そして今に至るまでの努力をきちんと学ぶ必要があるのではないか。