②アメリカでの生活
H.K.
暮らしていたのは “The Social Chico”という寮で、チコにあるButte collegeとCalifornia State University of Chicoに通う学生が主に住んでいて、いろんな国からの留学生が多かった。寮の中にはResident Assistants(以下RA)という学生たちが住んでいて、常に受付にいた。寮のことで質問やトラブルがあったら何でも相談できた。RAさん達は、住人が親睦を深められるようなイベントを月に何度も企画してくれた。
イベントは、季節に合った映画の鑑賞会、プールサイドパーティー、卓球大会、サンドアート、シュシュづくり、ピザパーティーなど、本当に沢山のイベントを楽しく運営してくれた。そのイベントのおかげで親しくなった友人も多くいる。棟はセントラル、ウエスト、イーストの3つに分かれていて、セントラルにはゲームルームがあって、ビリヤードと卓球台と大きなテレビが3台。夜はルームメイトとよくビリヤードした。上手になった!
月曜日から木曜日は毎日学校に行って、金曜日から日曜日は休み。月水はチコセンター(いわゆるサブキャンパス)で11時と12時半から75分間授業を受けて、そのあとは図書館で課題やテスト勉強や予習復習。帰宅してから夜ご飯を食べて、そのあとまた寮のスタディーラウンジで勉強。火木はメインキャンパスで9時半と12時半から75分間授業。授業と授業の合間は勉強するか、眠すぎて死にそうな日はお昼寝。授業終わった後は図書館で勉強。帰宅してからご飯食べた後も勉強した。
交通手段はバスで、月水はダウンタウンの真ん中のトランジットセンターというバス停まで20分くらい歩いて、そのあとバス20分くらい乗ってチコセンターまで通った。火木は、寮の近くのバス停から出ているメインキャンパスまでのシャトルバスを使って、朝8時15分発のバス停に乗ってそこから35分くらいかけてメインキャンパスまで行った。不便そうに聞こえるけど慣れれば平気だし、バス停まで歩く道には自然がいっぱいだったりリスがいたりして、穏やかな通学路だったので全然きつくなかった。ただ、月木は、天気の悪い日にバス停まで20分もかけて歩くのは本当に憂鬱だった。バスの中から見える景色も、荒野が広がっていて何もないけど、日本に帰ってきた今では恋しく感じるし、アメリカだからこその広大な自然に囲まれた生活にうんざりしたことは無かった。
食事は基本的に寮の食堂。平日は、7時半から10時まで朝食、11時半から2時半まで昼食、17時から20時まで夕食。土日は、10時から2時半までブランチ、17時から19時まで夕食。ハロウィン、クリスマスなどイベントの時期は変わったりした。メニューは、日替わりメニューのコーナーもあって充実。キッチンで紙に注文したいものと名前を書いたら、それを作って名前を呼んで出してくれる。日本人は名前が覚えてもらいにくくて、「かほ」なのに「ケイオーウ」とか呼ばれたりした。注意して聞いていないと自分が呼ばれても気付かないこともあった。
友達は、いつも自分の名前が呼ばれても気付かないから、と、あえて全く違う名前を書いたりしていた(笑)日替わりメニューも毎日いろんな国のメニューが食べられるから楽しいけれど、日本食は全然違った。蕎麦の具がピーマンやニンジンだったり、汁にパクチーが入っていたりした。アジア系の料理には基本パクチーが入っていて、私はパクチーが嫌いだから食べるのに苦労した。
チコって本当に田舎で、周りには何もない。学生が沢山住んでて、週末には至る所でパーティーが開催されていた。バスを使ってチコモール(チコで最大のショッピングモール)まで行くと、Forever21やStarbucksなど馴染みのある店も多かったから、買い物行くときはだいたいチコモールだった。チコモールとは真逆の方向だけど、ノース・バレー・プラザには映画館があって、Dollar Treeとか99cent shopていう百円均一みたいなお店もあった。
映画館がとても安くて、朝イチか真夜中の回だと6ドルぐらいで観ることができてお得だった。アメリカ人が皆映画に詳しい理由は、この安さかもしれない。映画館ではみんな携帯の電源切らないし、普通に声出して喋ってるし、前の人がいなかったら椅子に足上げて観てた。ネイティブの学生と映画を観たときに、私以外みんな前の席に足を上げていて、大きな声で爆笑していて驚いたけれど、気付いたら自分もやってた(笑)
まだ夏休み中だった8月中は、ルームメイトと色んなところに出掛けた。シエラネバダ醸造所に行ってビール工場見学をした。見学はツアー形式になっていて全て無料!しかもツアーの最後に5種類のビールを試飲させてもらえる。でも試飲の量が半端なく多いうえに、アメリカ人はとても飲むのが早い。だから他のツアー参加者に合わせて飲んでいたらすぐに酔った。あと、近くにビッドウェルパークという大きい公園があって、その中でレモネードを飲みながら、マイナスイオンに触れて休憩したりした。こんな大きな自然が身近にあるのがチコの魅力の一つだと思う。
バスの中では、日本と違ってみんな大きな声で喋る。バスの中で何度も話しかけられたことがあるけれど、英語が拙いのと、エンジン音と周りの話す声が大きいせいで聞き取れなかったこともある。あと、バスは18歳以下の学生は1ドル、それ以外は1,75ドルだけど、一度小銭が足りなかったことがあった。その時、後ろに並んでいたおじいさんが足りない分を出してくれた。また、隣に座った同い年くらいの女の子に、アメリカではやっている曲を沢山聴かされて「この歌知ってる?」って話をして楽しかったこともあった。バスの中には、よく犬を連れている人がいて、その犬を乗客みんなで可愛がったこともあった。みんなとてもフレンドリーで、私の英語が拙くても、何度も何度も聞き返しても、よく聞いてくれる人が多かった。ただ、ホームレスたちが一日中バスの中で寒さや暑さを避けていたりしたから少し怖かった。