留学と観光旅行との違い

濱谷愛美

留学以外で外国へ行くというと思い浮かぶのは何であろう。おそらく「旅行」ではないだろうか。留学をしたいと考えた時、経済面、安全面、語学力など、妨げるものはいくつかあるであろうが、「それは旅行でもできるのではないか」と一度は考えたことがあるのではないだろうか。これはある意味、旅行が留学を妨げているのである。しかし、ここで私が言いたいのは、旅行が悪いということではなく、留学と旅行では何が違い、自分は何の目的で行くのか、何がしたいのかということを、留学へ行く際に考えてもらいたいからである。

旅行というのは、わかる通り、目的は観光である。何かを見たい、聞きたい、体験したいなど、その場所に行くことで達成することが多い。一方、留学の目的は様々であり、主には勉学にあたるが、観光以外といった方がここでは旅行との区別がつきやすいかもしれない。では、そのほかに何が違うのか。旅行は観光という一時的な娯楽や楽しみに対して、留学は目的が勉強であることにも関係するのであろうが「ここで何かを学ぶ、吸収する」という意識であると私は考える。主な目的である勉学自体で、知識的に何かを学ぶ人もいれば、実際にインターンなどで働き海外で働く際に何が必要かを学ぶ人もいる。その学ぶ何かは人それぞれ異なるが、何かを学びそれをその後人生の糧とすることは、旅行で享受する一時的な楽しみや異文化接触などとは違い、「その文化や言語、環境、学んだ何かを自分のものとして受け入れ、適応する」ということである。

ミルトンベネットが言う「異文化感性発達理論」を使うと、旅行では、違う文化や環境を知り受け入れることにより、レベル4の「違いを認識する」ところであるのに対し、留学では、受け入れた上で適応することが要求されるために、旅行よりも一段階上のレベル5である「違いを認識し適応する」ところに目標が設定されると考えられる。これはあくまで私が考える旅行と留学の違いであるが、何が自分の目的で何をしたいのかを考えることは、旅行でも留学でもどちらにおいても充実させるカギとなるため、大切なのである。