
日本の大学の留学制度ってどんなもの
小林 明
1.協定(校)留学(交換留学):海外の大学との学術交流協定に調印し、大学の代表として選抜された学生(1~2名)をそれぞれの大学から送り出すもので、交換留学あるいは交換留学生制度とも呼ばれています。多くの日本の大学で実施されていますが、授業料相互不徴収(授業料相互免除)を原則としているため交換できる学生数はかなり少なく、多くの場合交換する学生数の不均衡が問題となっています。留学希望者の多い大学では協定校の数を増やすことが急務ですが、需要にみあう供給ができていないのが現状です。在籍身分は留学で、母校での在籍期間に算入されるので4年間で卒業できるシステムになっています。
2.協定(校)留学(派遣留学):近年日本では交流協定は結ぶものの、送り出す学生数を増やすために学生数が限定される授業料相互免除(交換留学)ではない授業料負担学生(Fee Paying Student)を送り出す派遣留学を推進する傾向がみられます。従って、交換ではなく日本からの一方的な送り出しとなるのです。メリットは留学期間中の母校の授業料は交換留学と同様に免除されるようです。明治大学の協定校留学ではいずれの場合も明治大学の授業料は免除となっていますが、大学によって異なることに留意して下さい。デメリットは留学先大学の授業料が年々高額になっていることでしょう。在籍身分は留学で、母校での在籍期間に算入されるので4年間で卒業できるシステムになっています。
3.学部提供留学(派遣留学):上記2つの留学は大学として提供している留学プログラムですが、大学によっては学部で独自に留学プログラムを提供しています。中には学部独自に交換留学を実施している場合もあるでしょうが、大半は送り出し中心の派遣留学(現地授業料負担の留学)です。国際日本学部でも2008年の創設以来、アメリカを中心に4年制大学への1学期留学(約5か月間)を推進してきました。上記1, 2で指摘したように4年制大学の授業料高騰を受けて、2015年度から日本の多くの4年制大学に先先駆けて、アメリカのCommunity College(州立2年制大学)への派遣留学を開始しました。現地授業料は4年制大学の3分の1や4分の1であり、2016年度派遣留学生は対前年比50%も増加しました。学生としての資質や英語力を十二分に満たしていても経済的な理由だけで留学を断念せざるを得なかった学生たちに道が開いています。半年間で200~300万円くらいかかる4年制大学に加えて半年間100万円前後で正規留学できるのです。国際日本学部への授業料負担はありますが、多くの学生が学部や大学独自の留学奨励助成金やJASSOの情勢金などを受けていますので、経済的な負担はかなり軽減されています。在籍身分は留学で、母校での在籍期間に算入されるので4年間で卒業できるシステムになっています。
4.私費留学(単位認定あり):上記3つの留学は大学あるいは学部が提供する留学プログラムですが、この私費留学というのは学生や家族が希望する時期や期間、国や地域の大学に自由に留学することができます。ただ、帰国後に留学先で取得した単位を母校で認定してもらい4年間で卒業したいような場合は、合格通知を受け取った段階すなわち留学前に、母校に対し認定留学申請をすることと留学期間中の授業料を支払う必要があります。一般的には大学やJASSOの留学助成金などの奨学金の対象になりません。国際日本学部ではこの認定留学の場合でも授業料相当の助成制度があり、それを受けて留学する学生も少なくありません。在籍身分は留学で、母校での在籍期間に算入されるので4年間で卒業できるシステムになっています。
5.私費留学(単位認定なし):この留学は、母校を休学して出かけるまったく自由な形の留学です。学生の希望する時期、期間、国・大学を決めることができます。また休学扱いですから、ほとんどの大学では授業料よりも相当安い在籍料(明治大学の場合は半年8万円)を支払うだけで留学でき、留学後も簡単に復学できます。在籍身分が休学ですから、留学期間は母校での在籍期間に算入されず、単位認定もないので4年間で卒業することはできません。半年間留学した場合は半年遅れた卒業となります。ただ、年2回の卒業式がない大学では留学期間が半年であっても母校卒業には5年間かかることがあります。各大学の制度をよく勉強しておくことが大切です。